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2026/01/12 ライフプラン
目次
「貯金や投資だけで、安心して老後を過ごせるのだろうか」
NISAやiDeCoなどといった資産運用への関心はかつてないほど高まっています。しかし、物価高騰やAIの急速な普及により求められるスキルが変わりつつある今、今後の人生に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
いま必要なのは「資産を守ること」以上に、環境の変化に合わせて「稼ぎ続ける力を更新すること」、すなわちリスキリングです。金融資産は物価上昇の影響を受けますが、あなた自身に備わった「スキル」はインフレで価値が下がることはありません。今回は、これからの不安を軽くするためのリスキリングについてお伝えします。
政府は2022年、三位一体の労働市場改革を掲げ、個人の学び直しに5年で1兆円規模の予算を投じることを決定しました。2024年の給付金拡充や2025年の教育訓練休暇給付金など、国がキャリア形成を後押しする仕組みが整いつつあります。
その背景には、日本経済が「年功序列型(メンバーシップ型)」から「職務給型(ジョブ型)」へと歴史的な転換点を迎えていることがあります。
内閣官房の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(2025年改訂版)」によれば、これまでの日本企業の賃金体系は、勤続年数に比例する構造でした。しかし、デジタル化の進展により、最新スキルを習得し続ける人材に資本が集中するようになりました。「何年働いたか」ではなく「何ができるか」に重きを置くようになったのです。
厚生労働省の「労働市場改革の指針」に基づき、政府が推進する改革の全体像を整理すると、次のようになります。
これまでの会社独自のスキルの習得から、個人が主体的に選ぶ学びへのシフトを支援します。個人への教育訓練給付金を拡充し、受講費の最大80%を給付するなど、個人が社外でも通用するスキルを得るためのコストを国が負担します。また、ポータブルスキルとして、どの会社でも通用するITスキルや専門知識の習得を後押しします。
リスキリングで新しいスキルを得ても、給与が年齢や年次で決まるケースはあります。そのため、担当する仕事の内容と、それに必要なスキルを明確にし、スキルの高さや成果に応じて賃金が決まる日本型職務給の導入を企業に促します。これにより、能力がある人が若くても高い賃金を得られるようになります。
身につけたスキルを武器に、成長産業へ移動しやすくする環境を整えます。たとえば、失業給付の変化です。これまで自己都合退職では失業給付の受け取りまで期間がかかりましたが、この待機期間を短縮し、キャリアチェンジに伴う生活不安を解消します。また、官民が連携して、リスキリング後の転職先を確保する仕組みも整っています。
この改革が「三位一体」と呼ばれる理由は、一つでも欠けると機能しないからです。学び、正当に評価され、最も必要とされる場所へ動くというこのサイクルを回すことで、個人は組織に依存しないキャリアを築き、企業は高度な人材を確保し、日本全体の年収が上がっていくというのが、この改革の狙いです。
「学ぶ意欲はあるが、お金も時間もない」という多くの人が抱える悩みに対し、日本の支援制度は世界トップレベルにまで強化されています。2024年から2025年にかけて、リスキリングに関する給付制度が大きく変わりました。
まず、2024年10月より、厚生労働省の教育訓練給付金が大幅に強化されました。注目したいのが、デジタル・グリーンといった成長分野の講座を対象とした専門実践教育訓練給付金です。 これは、受講費用の50%(年間上限40万円)に加えて、受講後に賃金が5%以上上昇した場合や、資格取得後に就職した場合には追加で30%が支給され、合計80%(最大年間64万円)が給付されるものです。例えば、80万円のITエンジニア養成講座を実質16万円で受講できます。
2025年10月からは、教育訓練休暇給付金が施行されました。「仕事が忙しくて学ぶ時間がない」という社会人に対し、リスキリングのために30日以上の無給休暇を取得する場合、雇用保険から一定額が支給されます。支給額は現行の育児休業給付金に近い水準を想定しており、これにより、会社を辞めずに知識を身に付けることができます。
では、具体的に何を学べばよいのでしょうか。厚生労働省の「職業情報提供サイト(job tag)」では、自分の適性や、希望する職種の平均年収を簡単に把握できます。需要の高い領域を見ていきましょう。
市場価値の高いスキル領域と賃金相関

※ job tag及び経産省データより作成。
参照:
厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/
経済産業省「我が国におけるIT人材の動向」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
ここで重要なのは、単一のスキル習得で終わらせないことです。ひとつのスキルではなく「既存の専門性×デジタル」の掛け合わせが最も効率的に市場価値を高めます。例えば、経理のスキルにデータ分析を掛け合わせることで、データアナリストの役割も担い、市場価値が1.5倍〜2倍へと跳ね上がります。
必要な知識は、年代によっても変わります。それぞれのライフステージに合わせた視点を持ちましょう。
この時期は、特定の社内ルールではなく、市場全体で通用するポータブルスキルの習得をおすすめします。論理的思考力、プロジェクトマネジメント、英語、ITリテラシーなどの知識を身に付けることでキャリアチェンジの選択肢を広げることができます。また、30代で基盤を固めると、その後の数十年間にわたって専門知識を積み上げることができます。
ベテラン世代の強みは、長年培ってきた業界の知見です。さらに、AIやデータ分析などの技術を組み合わせることで現場の課題を技術で解決できる人材としての価値が確立されます。この世代が休暇給付金を使い、現場から離れて最新の理論を学び直すことで、定年後の顧問・コンサルなどのキャリアの可能性も広がります。
人生100年時代、60代はまだ通過点です。この時期のリスキリングは、組織を離れても機能するマイクロプレナーのスキルが有効です。中小企業のDXアドバイザーや特定のITツール導入支援などの実務支援に特化することで、生涯現役で働き続けることができます。
資産よりも、今の自分にいくらの市場価値があるかが老後の安心を左右する時代です。かつて教育は20代前半で終えるものでしたが、国を挙げて個人のスキルアップが支援されることで、一生涯学びを続けやすい時代となりました。リスキリング制度を活用し、スキルを磨くことが最も確実な老後の安心につながります。まずは関心のある分野から一歩を踏み出しましょう。
【著者:ワイズアカデミー(株)】
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