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次は「退職金」が狙われる!? 政府税制調査会で静かに進む「退職金への増税」の動きと問題点/幻冬舎 GOLD ONLINE

2023/06/02 税金

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退職金については、勤続年数が長いほど税金が優遇されるルールがとられている

サラリーマンの退職金についてはともかく、経営者・自営業者には、「雇用の流動化」云々は無関係

現行税制における「退職金」に関する税制優遇の内容

 

まず、現行の税制における退職金に関する税制優遇措置について解説します。

 

◆退職金、iDeCo・小規模企業共済等の「一時金」は「退職所得」

 

退職金を受け取ったら「退職所得」として所得税の課税対象となります。

 

この扱いは、文字通りの退職金のほかに、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」や「小規模企業共済」によって積み立てられたお金を「一時金」として受け取る場合も同様です。

 

ただし、「退職所得控除」によって税負担が軽減されています。

 

なぜなら、退職金は「在職中の給与の後払い」的な性格を有するとともに、老後の生活資金となるので、高い税負担を課すべきではないと考えられているからです。

 

◆勤続年数に応じた「退職所得控除」を受けられる

 

退職所得の計算式は、原則として以下の通りです。

 

【退職所得の計算式(原則)】

(退職金額-退職所得控除額)×2分の1

 

ただし、2022年以降、「勤続年数5年以下」の場合は、300万円を超える部分の額については「×2分の1」をすることができないというルールが採用されています。これにより、勤続年数が5年以下の場合についての退職所得の計算式は以下の通りです。

 

【退職所得の計算式(勤続年数5年以下)】

 

150万円+(退職金額-退職所得控除額-300万円)

 

「退職所得控除額」は勤続年数により決まっています。以下の通り、勤続年数が長くなるほど、退職所得控除額が大きくなるしくみがとられています。

 

【退職所得控除額】

・勤続20年以下:40万円×勤続年数 ※最低80万円

・勤続20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

 

このように、退職金については、勤続年数が長いほど税金が優遇されるルールがとられているのです。

 

政府税調で提起された「退職所得控除」の改定意見

 

これに対し、2022年10月18日に開催された政府の税制調査会において、一部の委員から、改定すべきとの意見が提起されました(政府税制調査会「説明資料(個人所得課税)」)。

 

現行制度では、退職所得控除額は勤続年数が長くなるほど高くなっていますが、それを、勤続年数で差を設けず、一律にすべきだというものです。

 

主たる理由は、勤続年数が長いほど退職金が税制優遇されるとなると「雇用の流動化」が阻害されるということです。

 

すなわち、現行の退職所得控除の制度があるせいで、「あと●年勤務すれば退職所得控除額が高くなるから、それまで退職しない」「長く勤務すれば退職所得控除額が大きくなるから転職せずに在職し続ける」ということになり、雇用の流動化が阻まれる…というのです。

 

改定意見の問題点

 

しかし、これには、以下の問題点が指摘されます。

 

【改定意見の問題点】

1. 「退職所得控除額」が転職を阻害する重大な要因になるとはいえない

2. 「サラリーマン」と「経営者・自営業者」を同一視できない

 

◆問題点1|「退職所得控除額」が転職を阻害する重大な要因になるとはいえない

第一の問題点は、「退職所得控除額」が転職を阻害する重大な要因になるとはいえないということです。

 

会社員が転職する際、その主な理由は、以下の2つに集約されます。

 

・今よりもスキルアップしたい

・職場の環境や人間関係に不満がある

 

転職する人は、多かれ少なかれ現状に不満を抱えており、環境を変えたいという希望を持っています。

 

特に、スキルアップ、給与アップのために転職しようとしている人にとっては、現職場にとどまって退職所得控除で税金が多少優遇されることよりも、より良い待遇を早く得るために転職する方がメリットが大きいといえます。

 

したがって、退職所得控除の制度の存在が転職の阻害要因となるという論拠には疑問があります。

 

◆問題点2|「サラリーマン」と「経営者・自営業者」を同一視できない

改定意見の第二の問題点は、もっぱらサラリーマンのみを想定している点に問題があります。

 

サラリーマンの退職金についてはともかく、経営者・自営業者には、「雇用の流動化」云々は無関係です。

 

経営者・自営業者の場合、「流動性」よりもむしろ、長年にわたって一生懸命に事業を継続して収益を上げ、事業を大きく育てることこそ重要です。

 

そして、それに対する報いとして、勤続年数に応じた退職所得控除の特典を与えることには、合理性があると考えられます。

 

なお、政府税調の委員のなかには退職所得控除の制度を改定することに対して慎重な意見もあります。特に、政府税調の会長である中里実氏(東京大学名誉教授)は、「長期的な人生設計の前提となる制度の安定性というのは一定程度重要だ」と指摘しました。これは、退職所得控除の制度趣旨を重視したものであるといえます。

 

中里会長の指摘するように、退職金等に関する税制は、老後の資金準備と密接に関わるものです。したがって、もし、今後、国会・政府がそのあり方に変更を加えるのであれば、その必要性・合理性について、退職所得控除の制度趣旨に立ち返った慎重な検討が求められます。

 

また、私たち有権者も、自分自身の将来に関わる問題であることを認識し、政府税制調査会、政府、国会における議論のなりゆきを注意深く監視していく必要があるといえます。

 

 

 

参考元:【次は「退職金」が狙われる!? 政府税制調査会で静かに進む「退職金への増税」の動きと問題点 | 幻冬舎ゴールドオンライン (gentosha-go.com)

 

 

 

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