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2022/06/28 不動産投資
木造戸建て住宅には「4号特例」という問題がある
4号特例とは、建築基準法6条1項4号で規定する建築物(4号建築物)に関する特別ルールのことをいいます。4号建築物とは「2階建て以下」や「延べ床面積500平方メートル以下」、「高さ13メートル以下」、「軒の高さ9メートル以下」の木造建物のことを指します。一般的な木造2階建ての戸建て住宅はほぼ該当します。
4号特例は「4号建築物を建築士が設計していれば、役所や検査機関に『このような建物を建築したいのでチェックしてください』という作業(建築確認申請といいます)時に構造計算書類等の資料を添付する必要がなくなる」という特例です。1983年に導入されましたが、建築行政職員のマンパワー不足などにより建築確認が十分に実施できなかったことが理由とされているそうです。
4号特例は「構造計算書類の添付は必要ない」ものの、決して「構造計算をしなくてもよい」わけではありません。建築士への信頼を前提としていましたが、一部で不適切な設計・工事監理が行われて構造強度不足が明らかな事案が発生しました。例えば2006年には4号特例が適用された建売住宅の設計が不適切で、多くが構造強度不足となる事案が発生しています。16年の熊本地震では、最新の建築基準法上の耐震基準である00年基準に沿って建設したと思われる木造住宅のうち最大9棟が倒壊し、最大8棟が全壊したといいます。こうした事態に対し、18年には日本弁護士連合会は「4号建築物に対する法規制の是正を求める意見書」を公表するに至っています。
成立した改正法では、平屋かつ延べ床面積が200平方メートル以下に限ってこの特例は残り、木造2階建て住宅は特例の対象外です。実際に法律として施行されるまでには時間がかかりますが、近い将来、新築の木造2階建て住宅は安心ということになりそうです。とはいえ、改正法が施行されるまでは構造計算書類の添付が不要なままなので、駆け込みで建築する事例が発生するのではないかとの懸念もあります。
設計事務所の建築再構企画(横浜市)の代表で1級建築士の佐久間悠さんは「改正法が施行されるまで心配なら、担当の建築士に構造計算や壁量計算に関する資料を出してもらい説明を受け、さらに第三者の建築士に見てもらうといった作業を行うことで、きちんと設計されているかどうかを確認できる」と言います。
新築については法改正がされますし、改正法が施行される前でも確認する手段はあることがわりました。では、中古の戸建て住宅の場合はどのように確認すればよいのでしょうか。例えば00年基準の木造2階建て住宅は以前の基準に比べて耐震性が高いといわれていますが、中古で買った場合に構造計算をきちんと実施していたかどうかをどのように確認すればいいのでしょうか。
中古戸建て住宅を売買する際、不動産会社は買い主に重要事項説明を行います。ただ、不動産業者はそもそも建築の専門家ではありません。4号建築物に関して構造計算がなされていたかどうかの確認・説明義務も法的に課されていません。
佐久間さんは「当時の設計者に聞くしかないうえ、構造計算資料を保存していないと言われてしまえば確認しようがない」と言います。「心配ならば木造の耐震診断に詳しい建築士に相談してもよい。実際に調査するとなると部分的な解体が必要となる場合もある。解体したくない場合は、設計図と目視でわかる範囲のチェックとなるが、やらないよりはよい」とのことでした。心配であればこうした専門家に相談するのもよいかもしれません。
【参考元:木造2階建ての落とし穴 特例で審査なく強度不足の例も: 日本経済新聞 (nikkei.com)】
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