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「マンション高く買います」チラシ、狙いは物件情報/日本経済新聞

2022/06/04 不動産投資

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不動産売却時に、チラシにあるような好条件の買い主が現れるかは疑わしい

不動産売却時に、チラシにあるような好条件の買い主が現れるかは疑わしい

 

「このマンションを買いたい人がいます」。このような不動産業者のチラシが自宅の郵便受けに入っていたり、ダイレクトメールで届いたりした経験はありませんか。たまたま売却を検討していたとしても、そのチラシの内容は少し疑ってかかったほうが賢明かもしれません。

 

 

「買い主がいます」というダイレクトメール

「『とある企業の役員の方がこのあたりで物件を探しています』というダイレクトメールが届いたので、送ってきた不動産業者に連絡してみました。相場より高く買ってくれる可能性があるというので売却を依頼すると『買い主が勤める企業の業績悪化で買えなくなってしまったそうです』との連絡が来ました。さらに『今後は相場並みまで下げないと売れません』とも言われたのですが、どうしたらよいでしょうか」

お客様からのこのような相談はよくあります。こうしたダイレクトメールはマンションか戸建てかを問わずしばしば届いており、読者の中にも見たことがあるという方がいると思います。

 

 

不動産業者の狙い

不動産業者がダイレクトメールを送る狙いは「自社だけが取り扱える売り物件の情報を獲得すること」です。不動産業者は売り物件の情報がなければ仕事になりません。とにかく売り物件、中でも確実に収益につながる自社だけが取り扱える売り物件の情報が欲しいので、営業担当者はこのようなダイレクトメールをあちこちに送っているのです。中堅や中小の不動産業者だけでなく、大手不動産業者でも行っているケースがあります。しかもこうしたチラシやダイレクトメールの内容は、事実でないことが多いのです。

筆者はかつて、このようなダイレクトメールをもらった売り主さんに対して「どうしても気になるなら送り主の不動産業者と媒介契約(売り主から売却の依頼を受けたという証しとなる契約)を結ぶように」とアドバイスしたことが何度かあります。しかし、ダイレクトメールにあるような条件のよい買い主に巡り合えたケースは一度もありませんでした。

 

 

「専任媒介」で物件情報を確保

不動産業者はこのようなダイレクトメールに反応した売り主に営業をかけます。「高値で買う客がいる」といってアプローチし、宅地建物取引業法上のルールに従って、売り主と媒介契約を結びます。

媒介契約は、他の不動産業者にも売却依頼が可能な「一般媒介契約」と、売却依頼先を1社のみとする「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」に分けられます。不動産業者は収益獲得のチャンスを高めるために、専任媒介契約または専属専任媒介契約を結ぶように売り主にお願いして、売り物件情報を確保します。

専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでしまえば、契約期間中の3カ月間は他の不動産業者を排除して自社だけが取り扱える売り物件情報になります。少したったところでダイレクトメールに掲載した買い主の都合が悪くなったことにして、相場並みまで値下げするよう交渉するわけです。

 

 

まずは相場水準を理解する

こうしたダイレクトメールを受け取って売却する気になった場合、結果として売却額が相場並みだったということが多いので、あまり大きな問題にはなっていません。ただ、不動産業者への不信感は残ってしまうことが多いものです。

安心して取引するにはまず、相場水準から逸脱した価格で取引が成立することはほとんどないことを理解しましょう。一般的な売却価格がどの程度なのかを複数の不動産業者に聞いたり、不動産業者のウェブサイトなどで売却中の物件の価格を確認したりするなどして相場観をつかむことが大事です。

そのうえで、ダイレクトメールのような買い主と巡り合えたらラッキーだというスタンスで送り主の不動産業者に売却を相談してみるとよいでしょう。もちろん、そのようなダイレクトメールを送ってくる不動産業者は信用ならないという考え方もあるでしょう。そんな買い主が実在するならあちこちの不動産業者に声をかけているでしょうし、売却物件サイトもしっかりチェックしているでしょうから、他の不動産業者に売却を依頼しても巡り合える可能性があるかもしれません。

いずれにせよ、まずは相場を理解したうえで、売却を進めていくことが肝要なのです。

 

 

 

【参考元:「マンション高く買います」チラシ、狙いは物件情報: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

 

 

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