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2023/09/25 不動産投資
国・自治体の「マンション管理計画認定制度」と業界団体による「マンション管理適正評価制度」は、マンションの老朽化が進むなかで長期修繕を適切に行うなど管理の底上げをする狙いがある
区分マンションを保有する際に避けて通れないのがマンション管理の世界。今そこに異変が起きている。物価高騰の波から人件費や電気代などが上がり、マンションの管理費も上昇傾向に。
しかし思うように管理費の値上げができない場合、管理会社が管理を手放し、自主管理に追い込まれるケースもあるという。また区分所有者が役員となる理事会をなくしてしまい、管理会社などに判断まで任せてしまう「第三者管理」方式が増加しつつあることも見逃せない。
今、マンション管理の現場で何が起こっているのか? 投資を行ううえで知っておきたい「マンション管理」最前線について取材した。
5年程前から大手ディベロッパー系管理会社を中心に
“儲からない”マンションから撤退する動き
マンションの管理組合から依頼を受け管理委託費の適正化や大規模修繕工事のサポートなど各種コンサルティング業務を行う株式会社ソーシャルジャジメントシステムの取締役、山東雅也氏に話を聞いた。
「5年程前から大手ディベロッパー系の管理会社が、管理受託している業務のなかでも収益性の低い他社物件の管理業務から撤退し始めたのが事の始まりです。
ディベロッパー系の管理会社にとって収益性が高いのは、親会社であるディベロッパーが新築分譲したマンションを管理することです。リプレイス(管理会社の変更)により受託した他社物件の管理は収益性が低く、取捨選択を進める判断をしたのでしょう。
その流れが他社にも広がり、管理委託契約の更新時に管理委託費の値上げをうけいれるか、さもなくば管理から撤退するというケースが増えています」
管理会社にはディベロッパー系(大手中心)のほか独立系や地場中小系などもあり、大手が撤退しても、後を引き継ぐ管理会社が早期に見つかれば問題なさそうだ。
しかし今は人材不足も深刻な問題だと山東氏は指摘する。
「かつては定年退職したシニアにとってマンションの管理員はいい仕事でした。5年程前までは人材を集められたのですが、今はもっといい仕事に人が流れ、慢性的に人手不足です。
マンション管理の仕事はハードで、フロント(管理会社の担当者)を含め、モンスター入居者の対応などに疲労困憊し、辞めていく人が少なくありません。
管理会社はこうした実情を考慮し、いい人材を確保するために待遇面や雇用環境の改善に努めていますが、なかなか追いついていません」
マンション管理の現状を知るうえで、2022年4月にスタートした国・自治体の「マンション管理計画認定制度」と業界団体による「マンション管理適正評価制度」はどう影響しているのだろう?
「どちらの制度も認定項目や評価項目をみると、普通のマンションならクリアできて当たり前のものが多い印象です。また、いずれも導入が始まったばかりで、認定や評価を取得したマンションはまだ多くないのが実情です。
とはいえ当初よりも前向きに検討するマンションが増え、管理組合への働きかけに力を入れている管理会社もあります。ただ申請には手間がかかることや、申請したのに不適合になったら、自社の責任になるため、評価されるのを避けたい思いが伺えます」
これらの制度がスタートした背景には、マンションの老朽化が進むなかで長期修繕を適切に行うなど管理の底上げをする狙いがある。
特に国・自治体が行っているマンション管理計画認定制度の認定を受けると、大規模修繕の翌年に建物分の固定資産税が半額になるという減免制度がある(参考:マンション長寿命化促進税制 )。この制度にはいまのところ令和5年4月から2年間という限定があるが、おそらく延長される可能性が高く、認定を受けるマンションも増えていくと山東氏は考察する。
「両制度がすぐさまマンションの資産性に影響を及ぼすような影響はなさそうですが、マンションを買う人にとってみれば特にマンション管理計画認定制度の『認定あり』と『認定なし』のマンションでは、『認定あり』のマンションのほうが印象はよいでしょう」
増える「第三者管理」方式のマンションに注意!
投資物件でも管理の見直しで2~3割管理費が下がる場合も
健美家読者に向けて、投資目的でマンションを買う場合、どのような点に注意すべきだろうか?
「一番肝心なのは第三者管理が入っているかどうかです。第三者管理とはマンションの所有者で理事会を形成するのではなく、外部の第三者に管理をゆだねる方法です。
投資物件には第三者管理が向いていると思うものの、投資用マンションの場合は、販売から管理まで自社で一貫して行う場合が多く、支出が多すぎるケースもあり、投資家にとってダメージになる場合もあり注意が必要です」
神奈川県のとある新築分譲マンションでは、管理費が㎡単価で通常200円のところ、その約2.5倍、500円の設定になっているケースがあったそうだ。第三者管理の場合、理事会で話し合って変更するようなことができないため、購入後に管理費の高さに困惑しても打つ手がないことが想定される。
「一般的に管理費は管理会社の収益になるため、割高に設定されるのが業界の常です。それが最近、ますます顕著になっています。修繕積立金は安いほうが買う側は買いやすいので安めに設定されている場合が多いものです。管理費と修繕費は、高すぎても安すぎても問題です。類似する物件と比較して、適正なのかよく吟味しましょう」
ほかにも以下の点に注意したい。
《マンションの管理面で注意して見るべきポイント》
●修繕積立金の貯まり具合や、過去にどれだけ値上げしてきたかをチェック。今の相場は㎡単価250~350円。㎡単価が数十円など竣工時から変わっていない場合は要注意。
●「次の大規模修繕はいつになるのか?」など簡単な質問を投げかけ、回答の早さや精度から管理業務が適切に行われているかをチェック
投資物件でも管理の見直しで2~3割管理委託費が下がることは珍しくなく、「過去に個人投資家の方からの依頼で、投資用の区分マンション4棟、それぞれ管理委託費を下げた実績があります」と山東氏。
『マンションは管理を買え』と長年言われてきたが、マンション管理の現状を知るとなおさら管理の状態や管理費が適正なのかどうか、よく見極めたいものである。
参考元:【管理会社が下りる異常事態も。管理費上昇,モンスター入居者や人手不足に悩むマンション管理の今|不動産投資の健美家 (kenbiya.com)】
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