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2023/09/12 ライフプラン
「説得」でなく「並走」する意識で取り組むべき
実家住まいの親の「老い支度」をどうするか、子世代で悩む人は多いでしょう。親が認知症になってしまったら、介護施設への入所資金を調達するために実家を売却することが難しく、子世代の経済的な負担が大きくなります。そこで前回は、遺言書と、親が1人で物事を決めるのが難しくなった際に子が親の家を処分できるよう任意後見契約を結ぶという方法で将来に備えた筆者の経験についてお話をしました。
一番の課題は、高齢の親をどうやって説得するのかということでした。一般に、親には親としてのプライドがありますから、子の言うことに必ずしも耳を傾けてくれるわけではないようです。特に筆者は、父が頑固な性格という面もあり、かなり苦労をしました。経済的な対処法はあっても、心のハードルを越えなくてはどうにもならず、それが最大の難所でもあります。今回はどのように説得したのかをお話ししましょう。
遺言書や任意後見制度の話をしても、85歳の父は「自分はまだ元気だ。健康診断でも60代と変わらないくらいに健康だと言われる」などと言い、ほとんど聞く耳を持ってくれませんでした。母の認知症が明らかになり、ケアマネジャーとともにデイケアやショートステイの提案をしても、父は「俺が妻を守れば足りる」と言って提案を受け入れることはありませんでした。
父が遺言書と任意後見契約に同意したきっかけは、父のたび重なる失敗にありました。昨年末、父が買い物に出かけた際、父は雪の残る道で転倒して意識を失い、救急車で運ばれるという「事件」が起きました。取り残された母はひとり徘徊(はいかい)してしまい、遠くの警察署に保護される事態に発展してしまったのです。そして今年に入り、父が目を離したがゆえに母が徘徊してしまい行方不明となること数回、さらに父もバイクで少々遠くへ行った際、道に迷って警察に保護されるといった「事件」が発生しました。
こうした「事件」のたびに、私たち兄弟は病院や保護してくださった警察署へ両親を引き取りに行きました。そしてその都度、私たち兄弟は「父1人では母を守れない。父に何か起こった場合、問題はさらに深刻になる」と執拗に責め、遺言書と任意後見契約の必要性を説いたのです。
結果として、遺言書の作成と任意後見契約を無事にすませることはできました。でも、親の失敗に乗じて説得すること、ともすれば親のプライドを傷つけるようなこうしたやり方が本当に良かったのか、そして今後、母のデイケアやショートステイに関しても同じ方法で説得することが本当に幸せなのだろうかと悩むようになったのです。
そんなとき、「ネイバー」という「親の介護で毎日ドキドキ過ごす家族と訪問看護師士が、ありたいミライに近づくために立ち上げた学び合いのプラットフォーム」を運営している馬場未織さんと吉村英敏さんとお話しする機会がありました。そこで私の愚痴を聞いてくださるうちに、気づいたことがあります。
子は良かれと思って、相続対策や親の介護対策など老いへの備え(例えば運転免許証の返納なども含まれるかもしれません)について話したいと思います。その際に、つい自分の「こうあるべきだ」という基準を強引に親に押し付けようとしがちです。でも、もしかしたら親の「こうありたい」という価値観や思いを無視していたかもしれない。そして、私たち兄弟のかたくなな態度が父をさらにかたくなにさせてしまっていたのかもしれない。かたくなな父を強引に説得する材料を得るために、私たち兄弟は心の奥底で父の失敗を期待していたのではないか――。遺言書や任意後見の手続きを済ませても気持ちがすっきりしなかったのは、そんな感情にさいなまれていたからかもしれません。
「子としての、こうあるべきだという基準を少し緩めるだけでも、気持ちが楽になるかもしれませんよ」と吉村さんは筆者に助言してくれました。親を「説得する」という表現からして、子の「こうあるべきだ」という価値観をそのまま押し付けるという意識が潜在的にあったのかもしれません。親の「こうありたい」に耳を傾けながら、子供の価値観について説明しつつ、親と寄り添って話し合う時間がある程度必要なのかもしれません。親の認知症に備えるために行った遺言書作成や任意後見契約についても、寄り添って話し合いながら進めていくという選択肢もあったのではないかと今では感じています。「説得」でなく「並走」する意識で取り組むべきだったのかもしれないと思います。
筆者もまだまだ親との並走が続きそうです。これからは彼らの「こうありたい」という思いを少しでも理解すべく並走することから始めてみようと思っています。
参考元:【実家の親の「老い支度」 遺言や任意後見は説得より並走 - 日本経済新聞 (nikkei.com)】
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