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2024/08/04 不動産投資
目次
国内不動産を取り巻く状況は日々変わり続けています。2024年の不動産市場の現状についてポイントとなる項目をまとめました。2024年も全国的に地価の上昇が続いていますが、17年ぶりのマイナス金利の解除・引き上げによる影響に注目が集まります。
国土交通省が2024年3月に発表した地価公示では、前年と比較して全用途平均・住宅地・商業地のいずれも上昇する結果となりました。東京・埼玉・千葉の住宅地に関しては3年連続地価が上昇、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方四市も全用途平均・住宅地・商業地を中心に地価が上昇しています。その他の地域でも2年連続で地価の上昇が見られました。大手半導体メーカーの工場ができたエリアでは住宅地、向上地ともに地価が上がり、変動率が顕著です。変動率マイナスの都道府県の数は昨年22カ所だったところが17カ所までに減り、主要都市を中心に、日本全体で不動産価格は上昇し続けています。
出典・引用:国土交通省 令和6年地価公示の概要
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001732032.pdf
全用途での地価公示金額ランキングでは、中央区銀座、新宿区新宿、千代田区丸の内、渋谷区宇田川町、千代田区大手町などのエリアが上位を占めています。
コロナ禍が開け、市場が円安に振れている現在、日本を訪れるインバウンドの観光客が増えています。日本政府観光局が公表した2023年10月の訪日外国人観光客数は2,516,500人と、コロナ禍前のペースになりました。
インバウンドの観光客が訪れるリゾート地では、別荘やコンドミニアムなどの需要が増大し、地価が上昇した地点が見られました。国内のデベロッパーはホテルの再開発を急ピッチで進めています。また、観光地や人の流れが戻ってきた繁華街でも地価の回復が見られるようになりました。これら、需要があるエリアに関しては引き続き不動産の需要・価値も高まると考えることができます。
また、EC市場がますます拡大するなかで、大型物流施設用地等への需要が増えています。高速道路等へのアクセスが良好な工業地でも地価が上がっています。
2024年3月19日の金融政策決定会合において、日銀は「マイナス金利」を解除し、およそ17年ぶりに金利を引き上げることを発表しました。7月31日には、政策金利を0.15%引き上げ年0.25%にすることとなりました。今後、賃金の上昇が続くと想定し、2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になったことを理由としており、長期に渡りマイナス金利が続いていた日本の金融政策が大きく変わっていくことが予想されます。
これにより、不動産に関しても注意が必要です。利上げにより、銀行での預金について金利のアップが見込めますが、マイナス面として、住宅ローンの金利が上昇します。
金融政策決定会合に先駆けてソニー銀行が利上げを発表していましたが、三菱UFJ銀行も短期プライムレートを9月から引き上げることを発表しました。各金融機関も続いて金利を上げることが予想されます。住宅ローン利用者の7割以上が短期プライムレートに連動する変動型金利を選択しており、想定していたローン支払が難しくなる人が出てくると考えられます。短期プライムレートは、金融機関が企業向けに出す際の基準金利ともなっています。住宅ローン支払では、変動金利において、金利が上がって返済総額は増加するものの、借り入れから5年は毎月の返済額が変わらない「5年ルール」の緩和措置が設けられています。ローンを借りてから10年ほどは金利の返済も多くなるため、この時期にどれだけ金利負担を少なく過ごすことができるかもポイントです。
今後、新たに不動産を購入する場合は、固定金利も視野に入れながら、変動型の住宅ローン金利がどこまで引き上がるか、無理のない支払計画を進めていく必要があります。
また、物価上昇に伴ってかかる費用も見逃せません。建設資材の費用が高騰しているほか、建築業界の人手不足、働き方改革における労務費の増加・賃上げの上昇により建築費は年々上がる一方です。世界情勢に目を向けると、ウクライナでの戦争・中東情勢の長期化も避けられません。2024年7月時点では1ドル155~150円前後の円安の状況が続き、エネルギー・原材料価格の高騰は続くと考えられそうです。
マンションの購入・マンションをリノベーションする際、過去に比べると目には見えないところで人件費、材料費などがかさむようになりました。今後も不動産購入を考えている人は注意が必要です。
2024年は主要都市を中心に、日本全体で地価上昇の傾向が見られます。インバウンドにより、観光地での地価の上昇も見られるように、物流倉庫地の地価も上がっています。
一方で日銀よりマイナス金利の解除が発表されました。これにより変動金利による、住宅ローンの支払が増えることは確実です。すぐに住宅ローン金利への影響があるわけではありませんがこれまでの市場動向の変化は避けられません。各銀行の様子をみながら、すでにローンを組んでいる人は返済状況の確認を、これからローンを組む人は固定金利への変更などについて考えていく必要があります。また、物価上昇にともない、建築コストがかさむ傾向もあり、不動産購入時・マンションのリノベーションの際は注意が必要です。
【著者:ワイズアカデミー(株)】
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