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2022/09/27 不動産投資
2016年に法務省が委託した調査によると、39.8%の外国人が、外国人であることを理由に入居を拒否
日本では「住宅差別」は合法だ。
正確には、実質的な合法状態になっている。
日本は1996年に「あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約(ICERD)」に署名したものの、人種や国籍に基づく賃貸契約拒否の問題に対処する国内法は制定されていない。そのため、差別の抜け道が存在するのだ。
札幌シティ法律事務所の片岡淳平弁護士は「外国人が不当な扱いを受けるケースは多いが、裁判になったケースはそれほど多くはありません」と話す。
「とはいえ、合理的な理由なく外国人への賃貸を拒否し、それが訴訟に発展して、損害賠償を命じられた判例はあります。裁判所は、外国人に対する賃貸拒否のすべてを違法とするのではなく、関連するさまざまな事実を考慮した上で、法的に認められないかどうかを判断するのが通常です」
つまり、ケースバイケースということになるが、外国人にとっての家の探しやすさは地域によるところも大きい。例えば、東京のように外国人が多い地域では、東京都が不動産業者に対して、国籍を理由に賃貸を拒否することは差別にあたるという啓発を行っている。
また、韓国人や中国人が多く住む川崎市では、「何人も、正当な合理的理由なく、高齢者、障がい者、外国人等であることを理由に、市内の民間賃貸住宅への入居を制限されることはない」という条例を制定している。
それでも、2016年に法務省が委託した調査によると、39.8%の外国人が、外国人であることを理由に入居を拒否され、26.8%が外国人を「外国人お断り」と公然と拒否する物件に遭遇し、実際に住居を探すのを諦めたという。「外国人であることを理由に断られた」国籍で最も多かったのがタイ(53.1%)で、これに中国(51.0%)、朝鮮(50.0%)と続いた。
こういった状況の中で、最近、東京・八王子にあるセンチュリー21系列の不動産業者「グローバルコーエイ(GLOBAL KOEI)」の前を偶然通りかかったとき、店先でほぼ逆のことを書いた看板に遭遇した私の驚きを想像してみてほしい。
同店のスタッフは英語(韓国語、中国語、フランス語なども)を話すだけでなく、看板にはこう書かれていたのだ。「We are actively fighting with discrimination in Japan! (私たちは日本に存在する差別と積極的に闘っています!)」
グローバルコーエイの国際不動産部のコンサルタントであるマザン・ジョアンナ氏は、同社の差別撤廃の取り組みについてこう語る。
「私たちの会社は、2021年3月に国際部門を開設しました。CEOの齋藤祥文は、住宅業界における差別の存在を以前から知っていたので、その影響を受ける人々、障がいのある人や高齢者、外国人のために何かしたいと考えたのです」
齋藤氏が国際部門を開設した当初は、所属していたのは台湾人と日本人のハーフであるマネージャーの根津朗代氏1人だったが、2021年11月にマザン氏が採用された。この時、私の目を引いたあの看板が誕生したのだ。
「私が入社して数カ月後、根津さんに『ここのスタッフは英語が話せます、外国人も歓迎します、という大きな字の、大きな看板を作りましょう。そしてそこには、不動産差別と戦っていることも書いてください』と提案したんです」と、フランス・ヴェスール出身のマザン氏は話す。
実際、私の友人や同僚にも残念ながら差別的な経験をしたことがある人は少なくない。中には複数回経験した人もいる。しかし、このような行為が容認され、法的救済がないことを知った人たちは、「ガイジン・タックス」、つまり日本人でない者が日本に住むことの代償として、それを受け入れてしまうのである。
「悪い状況であるとは知っていました。この仕事を始めた当初、白人、ヨーロッパ人、アメリカ人などの、日本で"人気のある国"のお客様を紹介するときでさえ、多くの大家さんが断るのを目の当たりにして、すっかり怖くなってしまいました」とマザン氏は言う。
「中には受け入れてくれる人もいます。しかし、アフリカの国や中東の国、さらに悪い例では中国や韓国など、非白人の人の場合は大変で、多くの場合、大家さんに拒否されてしまいます。外国人の中でも差別がある。『いい外国人』と『悪い外国人』がいるわけです」
「残念ながら、北海道でも国籍を理由にした賃貸契約の拒否が見られます」と話すのは冒頭の片岡弁護士だ。
「しかし、そのような拒絶を理由に訴訟を起こすのは、一筋縄ではいきません。1つは、費用と時間がかかるから。また、オーナーや不動産業者が、拒否の理由に国籍を挙げるのではなく、収入や滞在期間、保証人の有無などを総合的に判断した結果、賃貸を拒否していると言えば、違法性が認められにくい場合が多いのです」
そこで、グローバルコーエイは、会ったことのない外国人に対し、そうした問題意識を持つ家主に、優しくその背中を押すことにしたのだ。
「最初、私はマネージャーと一緒に、大家さんと喧嘩をしたんですよ。なぜ、そんなことをするのかと聞きました。なぜ、中国人を嫌がるんですか?って」
「言葉のせいですか?もし言葉のせいなら、言葉のトラブルがあったら、いつでも私たちに電話してください、私たちが通訳すると約束します。そう言っても、『言葉の問題ではない』が、ノーだという大家さんもいます。
外国人だからだと。大家さんの中には、自分は外国人アレルギーだと言う人さえいました。私が電話で日本人の発音で話しているので、私が外国人だとは思わなかったのでしょう」(マザン氏)
こうした大家に対してグローバルコーエイは、さまざまなサポートを提供すると説明する。例えば、ゴミの出し方など、入居者が物件や地域の規則を理解できるように十分な資料を入居者に提供したり、入居者が賃貸契約書の中身を内容を十分に理解できるように手助けをするだけでなく、大家が入居者とトラブルになった場合は、同社が間に入ってサポートする。いずれも無料で行っているという。
「これだけの説明をした後に、やっぱり外国人は入居できないか聞いてみるんです。そうすると、外国人には貸したくないと言っていた大家さんが、試しに貸してみようかということになるんです。
それでも断られたなら、『では、外国人の入居者を拒否する理由は、あなたが外国人の入居者を拒否したいから、ということですね』というお話をします。自分が差別しているという自覚を持って頂く以外に、私たちができることはあまり多くはありません。ただ、それで十分なことも多いです」
私は、マザン氏の説明を聞きながら、日本の不動産会社の中で、これだけ差別に対し、やんわりと押し返すようなことをしている会社がどれだけあるのだろうかと考えた。そう多くはないだろう。これはビジネス的にもリスキーなやり方だ。
私の言葉にならない思いに応えるように、マザン氏はこう付け加えた。「日本で育った人たち(韓国人、中国人、ハーフなど)が、断られて私たちの所にやってくることもあるんですよ」。
「普通の不動産業者は、お客様のために戦わない印象があります。大家さんに『お世話になっております。外国人はOKですか?ダメですか?わかりました。お手数をおかけしました』と言ったように、ただ聞いて、諦めます」とマザン氏。
「でも、私たちの場合は、『この女性、インド人なんです。彼女は22歳で、○○大学に留学しています。彼女は日本人の緊急連絡先を持っていて、日本語を少し話せます。彼女がとても気に入っているので、お宅のアパートを紹介してもいいですか?」といった感じで進めます」
マザン氏によると、この方法は効果的だそうだ。相手にはっきりと断られることなく、次の会話につなげることができるという。
彼女の経験では、入居を断られる原因の50%は言語によるものだという。家主は、外国人入居者とのコミュニケーションの問題を懸念しているのだ。それ以外は、何かほかの理由があるか、あるいは単にリスクがあると判断してのことだという。
「外国人の入居を断るのは、嫌な経験をした、あるいは嫌な経験をした人の話を聞いた、テレビでこんな国籍の人は失礼だというのを見た、などの理由が多いようです。
日本では、大家さんは年配の方が多いので、あまりリスクを取りたがりません。まれなケースですが『いやだ!外国人は嫌いだ!』と露骨に言ってくる人もいますよ。ほとんどは、先入観や思い込みが原因です」
グローバルコーエイの前にある看板は、単なる広告ではなく、この会社で働く人々の楽観的で積極的な姿勢を反映しているのだ。
参考元:【日本に多い「外国人お断り物件」根底にある大問題 「貸さない大家」の意識変える不動産屋の存在 (msn.com)】
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