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2021/12/24 ライフプラン
人口の都市部への集中で、相続資産も地方から都市部にシフトする傾向が指摘されている
筑波大学などが実施した相続に伴う資産の流れを「見える化」する分析で、
東京や周辺部への金融資産の移転が進んでいることが浮き彫りになった。
人口の都市部への集中で、相続資産も地方から都市部にシフトする傾向が指摘されているが、
今回初めて具体的な数字を示して定量分析した。
地域科学に関する学際的な研究を進める「応用地域学会」で11月下旬に公表した。
相続関連サービスのルリアン(京都市)が持つ被相続人が住む市町村、相続財産の額、相続人数、
年齢、子供や配偶者の有無などのビッグデータを活用した。
移動可能な金融資産を「可動産」と定義し、総額を年間34兆円と推計した。
調査では国の一般会計歳出の3割強に相当する規模の可動産が地域間でどのように移動するのかを分析。
国内を「東京都」「大阪府」のほか、埼玉県、神奈川県、愛知県、福岡県の「準都会」、
それ以外の「地方」の4地域に分類し、マーケティングで使うOD調査の手法を用いて調べた。
ルリアンが扱う相続データを基に、被相続人が所有していた金融資産の額を人口比や相続件数などを考慮して地域別に計算。
東京都の占める割合は約8%、大阪府20%、準都会32%、地方は約40%になった。
一方、相続を受けた後の金融資産額の地域別の割合は、東京都が約11%、準都会が約34%で、
被相続人の金融資産の割合を上回り、資産が他の地域から移転してきたことがわかる。
逆に大阪府は約16%、地方は約39%で相続に伴って他の地域に流出したと判断できる。
東京都は、地域外から流れ込む金融資産の割合が53・5%で唯一、過半を占めた。
地方の可動産の8・4%が東京に、9・2%が準都会に移転するなど、金融資産が地方から東京都や周辺部などにシフトしている。
都道府県別に相続前後で金額がどう変化したかを分析すると、流入額(1案件あたり)のトップは神奈川県の81万1000円。
次いで東京都65万4000円、千葉県35万7000円など首都圏の自治体が上位3位を占める。
逆に流出額が多いのは、長野県の96万1000円、群馬県の31万3000円など。
相続人となる子供が地方から首都圏に移動し、配偶者を亡くした人が地方から都会に住む子供を頼って引っ越す例が増えている。
これに伴い、相続資産も都市部に移動する傾向があることはこれまでにも指摘されてきた。
今回の分析は具体的なデータで資産の流れを裏付けた形だ。
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